農家インタビュー

今回は、夢農人とよたメンバーである、有限会社はっぴー農産 黒野 貴義さんに、ご自身の農業スタイルや農業で大切にしていることについてお話を聞かせていただきました。

[2022年8月1日/有限会社はっぴー農産にて]


生産している主な農作物


はっぴー米(やさしいはっぴー米(農薬不使用米)・コシヒカリ・大地の風・にこまる)
はっぴーコーン(品種:しあわせコーン)
桃(日川白鳳・あかつき)


概要


▼所在地
愛知県豊田市四郷町西山76-2
▼出荷先・販売先
直売・飲食店・スーパー・生協など


日常の中で感動した原体験


私の両親が農家でして、「はっぴー農産」というネーミングも両親から引き継いでいます。
ですから、農家を目指すきっかけがあったというよりは、農業は私にとって日常そのものでした。

ただ、今でも忘れられない幼い頃の体験があります。
それは、直売で桃が売れたときのことです。

お客様がわざわざ味の感想を言いに来てくださったんです。
買っていただいた我々がお礼を言う側なのに、お客様に感謝されたことが幼心に不思議な感覚でした。
「なぜだろう?」と思いながらも、とても嬉しかった。
そのときの感覚を今でも覚えています。

こうして話してみると、「作ることよりも売ることにさらに喜びを感じた」というのが私の原体験ですね。
もちろん作る工程も好きですが、直売にこだわり続けているのはあのときの体験が大きいと思います。



農家はそれぞれに好きなことがある


農業にどっぷり使った学生時代を終えると、石川県で1年修行。
農業づけの日々を送りました。
生産者として一人前になるための貴重な時間だったと思います。

農家を目指す人の中には、「作っている時間」そのものが好きな人もいれば、「食べてもらっている時間」が好きな人もいます。
だから、作ることだけに集中をして「生産者」の道を極めるのも1つの選択です。

しかし私は、生産して終わらず、売るところまでやりたいという望みがありました。
つまり、届けるまで責任を持つ「供給者」でありたいと考えています。

「供給者」としてチャレンジすることは、お客様との距離が近いということです。
そのため、クレームやお叱りの言葉を直接いただくこともあります。

ただ、お客様が望んでいることを直接お聞きできるので私にとっては有り難いことです。
そして、「おいしかったよ」「来年もお願いね」と言われたときには心底嬉しく思います。


お客様に直接届けるための大切な設備の数々。


お客様の声を反映させる取り組み


お米は品種名で出荷する人がほとんどです。
私の場合は、自分の名前でお米を出しています。
なぜなら、他のお米と混ざってしまうことがなく、自分のこだわりの味が表現できるからです。

例えば、飲食店さん向けで人気なのは「にこまる」です。
お値打ち価格でたっぷりとお届けすることができます。

地元の方からは「大地の風」が好評です。
農産物というより商品をお届けしているという意識でいるため、2キロや5キロといった小袋も用意しています。

最近では、無農薬のお米が食べたいという方も増えてきましたので、そうした方には「やさしいはっぴー米」をお作りしています。
また、お米だけでなく桃も3キロや2キロの箱を揃え、できるだけお客様のご要望に合わせています。

このようにお客様のご要望を取り入れながら展開していくのも私のこだわりです。


直売所に並ぶ様々な種類のお米


お米が桃をおいしくしてくれる?


私は稲作がメインですが、桃も栽培しています。
これらは農作業の時期が重なってしまうため、ちょっと珍しいパターンです。
私の場合は、パートさんが協力してくださっているので成り立っています。

パートさんのサポートのお陰もあり、お米と桃それぞれに手をかける時間が生まれます。
例えば、お米は化学肥料や農薬を基準値の半分以下という「特別栽培基準」で栽培しています。

野菜も果物も基本に忠実に育てています。
とうもろこしは5時半から朝採りし、桃は木で熟させる。
そのため、「甘みが違うわね、おいしい。」と褒めていただくことも多いです。

土作りでは、もしかして日本一?というくらい多くの米ぬかをまいています。
米ぬかは微生物の餌になるので、米が桃をおいしくしてくれているかもしれません。


今後について考えていること


まずは、今後もお客様の不満を解決していくことを考えています。
売ることに関しては、やはり人口の減少が気になりますね。
ニッチ産業をつくったり、海外にも目を向けて新しい可能性を見出していきたいです。


夢農人への思い


農家というのは、自分も含めて情報発信がそれほど得意ではないです。
夢農人の場合は、農家だけでなく情報発信のサポートをしていただけている団体なので、発信力が1つの強みだと思います。
これからはITやデジタルにも関心を持って、今までと違う活動もやっていきたいです。

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