農家インタビュー

今回は、愛知県豊田市の苗農家さん、natural A  代表 浅井紀好(あさい のりよし)さんにインタビューしました。
苗農家として、土や堆肥へこだわり、育てる喜びをみなさんに実感してもらえる苗を出荷しながら、講師として実際の育て方まで伝えつづける浅井さんのお話を聞かせて頂きました。

[2019年10月30日/natural A にて]

視察・インタビューした夢農人メンバー

ゆめのたねファーム 高木 宏道(野菜)
mama's農園 野田 美香子(お米・野菜 他)


生産している主な農作物


花の苗 野菜の苗 シクラメン 菊 しいたけ 榊 など


概要


所在地


豊田市神殿町南横手7-1


出荷先・販売先


名古屋市専門店・農産物直売所・グリーンセンターなど


40年以上続く苗農家です。


浅井さんは、お父さんの代からの苗農家さんです。

豊田市の市街地から車で約40分。
国道から外れると鹿や猪に出会えそうな林道をぬけると、
そこにはいくつのも温室が立ち並ぶ景色が広がります。
敷地面積は約2,000坪。

浅井さんが就農されたころは、シクラメンとシンビジウムをメインに栽培し、出荷していたそうです。
そんな中、2001年「natural A」として浅井さん自身で新しい会社を設立しスタートをしました。

近年では、お客様の土離れが進み、花を送るという習慣も少なくなってきています。

そうであれば、シクラメンとシンビジウムだけに限らず、お客様が必要とする苗を色々販売していこうという方向性に変え、花の苗はもちろんのこと、野菜の苗の栽培も始めました。

現在では花苗が5割・野菜苗3割・シクラメンが2割くらいの割合で出荷をしています。1本、1本手作業で苗を丁寧に植え、50万~60万本の苗の出荷を目標に年間通して栽培・管理をしています。



土にこだわる


ハウスに並ぶ苗のポットは、根がぎっしりと張り込んでいて“しっかりした苗!”と感じます。
花も葉もイキイキと元気で生命力を感じる苗です。

素人の私たちが見ただけでもわかる、植えてみたくなる苗。
それには理由がありました。

浅井さんの土へのこだわりです。

natural Aでは、「プライムアグリ」という土壌改良剤を使用しています。

このプライムアグリというのは、信頼できる畜産農家さんとタイアップして考えられた、
有機肥料です。安全に使用できる土壌改良剤なんです。

プライムアグリは土の中の微生物のバランスを整えてくれます。
古くなっていく土が固くなっていってしまうのも防いでくれます。

その為、苗の根の発育を促進してくれて、苗が今、この栄養が必要!という時に必要な量の成分を吸収できるという、素晴らしい土壌環境作りを手伝ってくれます。

土壌がよくなり、土の中の菌や微生物が増えるということは、苗が病気になりにくくなり、野菜などもたくさん実ることができます。

お花も長期間綺麗に咲く花を楽しむことができます。

お客様にとって、自分の植えた花の苗はいつまでも綺麗に咲いてほしいなぁと思いますよね?

野菜の苗は、できるだけたくさんの収穫したいですよね?

natural Aでは、その願いをできる限り叶えていくことができる土を使用しているのです。



多くの方に綺麗な花を自分自身の手で咲かせてほしい!


浅井さんは全国にこのプライムアグリを使った、ガーデニング講座の講師を務めていらっしゃいます。

花をご自分自身の手で植えていただき、栽培の成長過程も楽しみの一つとして育てていただきたい。という熱い思いとともに、みなさんに伝え続けています。

実際、講座に来てくださっているお客様からのお声の中に「私、ガーデニングに何回かチャレンジしてみたけど、なかなか上手くできないのよねぇ。すぐ枯れちゃうの」というご相談もあるそうです。

そういったお悩みに、浅井さんは、花を植える際の理論、理屈まで丁寧に教え、「どうしたら上手く栽培できるのか。」ではなく、「何をすれば上手く栽培できるのか?」を伝えることにしています。

多くの“しなくてはいけない事”を覚えるより、少しの“してはいけない事”を覚えるほうが、誰でも覚えやすく、成功に近いからです。

覚えてもらった通りに育て、綺麗な花をたくさん咲かせました!と喜びの声が毎年、浅井さんのもとへ届くそうです。


花を育てる楽しさを、みなさんに知っていただく、体験してもらうことがとてもやりがいになっていると浅井さんは話してくださいました。


natural Aは堆肥の研究もしています。


プライムアグリの使用とともに、堆肥への研究も時間をかけて日々、続けています。

大きなストックヤードで堆肥を何種類かストックし、温度などを計測しながら、何か月もかけて最高の堆肥になるように作り上げています。最高の堆肥とは、土を完全に混ざり合い、匂いもなく、ハエやミミズが発生しなくなるまで、発酵しているもののことをいいます。

そのため、微生物が一番活動しやすい状態をキープしていくことが大切になってきます。
天気や気温も関係してくるため、色々な種類や状態のちがうものを試し、どの場合で発酵させると一番最適なのか、まだまだ日々研究中です。




ハウス内にも様々な工夫


たくさんの苗を栽培するにあたって、現在スタッフ人数は5名。効率よく仕事が進むように、色々な工夫がされていました。
ハウスの真ん中には長い鉄のローラーが設置されています。
このローラーの上に花の苗をいれたトレイを乗せれば、力を使わず、別のハウスへ一気にたくさんの苗を移動させることができます。

ローラー自身はお友達の工場から譲っていただいたリサイクル品だそうです。
女性スタッフさんでも負担が少なく作業ができます。
1つ1つが手作業のため、こういったちょっとした工夫が時間短縮になります。

その他にもキッチンハイターの空容器を使って、“エコスコップ”も浅井さんが考えられました。土がたくさん取りやすく、ひっくり返せば漏斗代わりになるという優れもの。たくさんのエコ精神が溢れているハウスです。

そして、敷地の角には、手作りのログハウスが建っています。
これも、昔休憩所がなく、寒くても、暑くても作業場で休憩されるスタッフさんにせめて休憩時間はゆっくりしてもらおうという思いで浅井さんが作られました。

人や環境を思いやる、優しい人柄がたくさんの植物に伝わり、元気な苗を育たせているのかもしれません。



natural A だからこそ


この社の名前は、浅井さん自身が考えて決めました。
意味としては、「自然体のはじまり」ずっと自然界に携わっていき、そのスタートという意味で「A」。
日本でも世界でも通じるような会社になるように。

ロゴマークも一筆書きで花のマークが書かれている可愛いデザインです。この頃では、他の方との商品と差別化するために、ロゴマークを使われる方も増えましたが、浅井さんが会社を設立したころには、まだまだ、自分自身の商品をプロデュースして、ロゴマークシールを商品にはって出荷する農家さんは、とても少なかったです。
浅井さんは先駆けて、自社商品にはロゴシールを貼り、natural Aの商品だと覚えてもらう努力をずっと続けてきました。

近年では、お客様の方から「青いシールの貼った苗ない?」とご指名で探してもらえるようになりました。



自分の力で商品を売る努力。


浅井さんは、現場での作業が多い中、営業活動もご自分自身で開拓されています。
2003年には自分自身で「ナチュラルA産直広場」もOPENしました。

どこかに頼りきっての販売だけでなく、これからは農家自身も自分の商品のこだわりや良さをどんどん伝えていき、販路開拓を進めていくことが、大切だと浅井さんから教えて頂きました。