農家インタビュー

今回は大阪の農家さん、松本農園の松本朋子さんよりご紹介いただいた栃木県那須烏山市の船山農園 船山瑛子さんにインタビューしました。
お話をお聞きして、外見の印象とは裏腹に力強く農業に取り組む姿勢に驚かされました。また、地域への熱い思いも語ってくださいました。
[2018年10月8日/船山農園にて]

生産している主な農産物

水稲(コシヒカリ、とちぎの星)、もち米(きぬはなもち)、飼料用米(あさひの夢)、麦、西洋野菜(バターナッツ、アーティチョーク、チーマ・デ・ラーパ)

概要

所在地等

栃木県那須烏山市森田1081

栽培について

稲、麦、西洋野菜を中心に栽培。冬は西洋野菜の葉物を育てている。

出荷・販売先

水稲:JA、直売所、麦:JA
西洋野菜:高根沢町ヴェッキオ・トラム、ヴェッキオKトラム(移動販売車)、さくら市氏家駅、フレンチバルGOE、こぶしっ子(直売所)

西洋野菜との出会い

就農当時は、コメ、麦、大豆(耕種農家)だったんです。
でも3,4年やったときに、もともと興味があって、時代の流れもあったので野菜をやろうと思いました。

JAの野菜講習に出たときに、私が夢中で聴いていたからか、声をかけられて。
それをきっかけに、最初は漬け菜という菜っ葉を栽培しました。
でも細かい作業が必要なので米作りに影響が出るということでやめたんです。
両立できるものを探していたら、洋野菜部会の副会長さんからチーマ・デ・ラーパを勧められました。
すごい親切な方で出荷まで指導してくれて、気づいたら洋野菜部会のメンバーに登録されてたんです(笑)
もうすこし簡単なのないですかと聞いて、教えてもらったのがバターナッツ。
これはいいって思いましたね。
それから6~7年つくってます。
でも、栽培が簡単で手を出しやすいので、最近は生産者がどんどん増えているんです。
だから、そろそろバターナッツは控えて次は他のカボチャへ移行するつもりです。

生産者が増え、どんどん安くなってしまうので、高い値段を保つには先手を打って行かないと、と思っています。


バターナッツの切り口は鮮やかなオレンジ

季節をうまく活用する

春、夏はどうしても薬を使わないと、虫がつき、病気になってしまうのですが、なるべく農薬を使わないで作りたいんです。
だから、葉物はなるべく冬に作っています。
稲作の冬の合間の時間にできるんです。
特に葉物は繊細なので、無農薬で作りたいですね。

やっぱり、こだわるのは土づくりです

もみ殻(あらぬか)を土に混ぜてふかふかの土づくりをしています。
やっぱり農業は土が基本、一番大事なのです。
燻炭(もみ殻を炭の状態にしたもの)には、殺菌、虫よけ、肥料のような効果もあります。
それから、土壌をアルカリ性にする役割もあります。
ポイントにしているのは、「循環」ですね。
野菜作りは無駄のないようにできるだけ土づくりと野菜作りを循環させています。


「おいしい」の声だけではない、やりがい

農業を始めて3、4年は消費者からの「おいしい」がやりがい、うれしかった思い出です。
でも今はそれだけではありません。
もう農家になって9年目ですが、地域ではずっと下っ端です。
そのような中で、農地利用最適化推進委員(地区で1人)を任されたり、西洋野菜のコツを聞かれたり、地域に「頼られる存在」になったことが今は大きなやりがいです。

「おいしい」と言われるのもたしかにやりがいではあります。
でも、おいしいだけじゃなくではなく、リピートされるようなものを作っていかないといけない。
それをいかに増やして、自分のお客さんを増やしていくか、という考えに変わってきました。

飲食店のシェフもダイレクトに伝えてくれます。
そうやって悪いこともはっきり言われる方がいいですね。
かえってやる気が出ます!

頼りになる存在に

生産者は、直にお客さんに関わる機会が少ないので、消費者から何を求められているかわからないんです。
それで、軽トラで移動販売をしているところにも卸しています。

そうすると、「これよりこっちの大きさのほうがいいみたいよ」という感じで、
店長さんからお客様の声を聞くことができます。
それから、包み方(袋に入れるか、裸で出すか)、飾り方、量等々についても店長さんがアドバイスくれるんです。
それらを加減したりするのは、お客様の心理を読む、まさに心理戦ですね。
まだまだ私の課題です。

大好きな地元で実現したいこと

いずれは、会社みたいにしたいです。

推進委員(農地利用最適化推進委員)になって、耕作放棄地や荒れていくばかりの土地を見て回ってきて、これをどうにかしたいと強く思い始めました。
農地は、1年だけでも休んだらダメです。
1年間放棄すると、草が背の高さほどにまでなって、土の中の栄養が全部取られてしまいます。
私のふるさとなので、ふるさとが荒れたらいやだなと思います。
いい景色って、写真撮りたくなるじゃないですか。
「あぁ、これすごいインスタ映えだわ」みたいに(笑)。
そうやって写真撮ってくれたらいいなって。
年数はかかるかもしれません。
でも、農地を守れるような大きな農業法人の会社をつくっていきたい
景観をよくしないと。


仲間がいるからできること

4H(全国農業青年クラブ連絡協議会)の役員をさせていただいていたので、全国に仲間がいます。
それぞれの地で頑張っているのがすごく刺激になりますね。
地元の仲間とも交流しています。
この時期だと、農業ワールドにみんなで行って、いろんなものを見て、「これ使えそうだね」っていうのを共有します。
毎年何かしら収穫があるので、農家同士できるだけ最新のものを使って、経営を向上させています。
遠足みたいに言って、幕張メッセでお勉強ですね(笑)。
ひとりで行くと心細いけど、みんなでいけば怖くないので。
みんなで共有して成長していくほうが地域全体が成長すると思います
情報は自分だけのものにしないんです。

後継者がいない

仲間はいますが、若くても30、40代で、後継者はほんとに一握り。
20代の人はほんとにいないです。
9年たってもまだ下っ端で(笑)、頭なでなでできるような後輩がいない。

マルチな才能へのあこがれ

尊敬しているのは大野さんという同市内の梨農家さんです。
農コン(農業合コン)を主催したり、出店で売ったり、商品開発(ドレッシング)をしたり、なんでもできちゃう人なんです。
そういう人と一緒にいるとメラメラしますね。
ずっと負けているような存在ですけど、心の隅っこではライバル視してます(笑)
かなわないなぁというところがたっぷりありながら、そばにいると向上心を保ち続けられます。

「この人が頑張ってるんだったら、こっちも何かやってやるか」みたいな。
彼は本当にすごい人で、地域やJAの広報、新聞などいろいろなところで取り上げられているんですよ。
私も取り上げていただけてますけど、負けてらんないなぁって(笑)。
そういう人がいないと成長はできないですね。
そういう人は地域を盛り上げたいという気持ちがあって、だからこそ農家さんや飲食店のオーナーさんも集めてイベントするんですよね。
今日のバーベキューもまさにそうです。


取材当日に偶然、地元農家の方のバーベキュー会がありました!

船山さんから夢農人へ応援メッセージ

いい活動ですね。
小学生、中学生がなりたい職業で「農家」が第1位になるようにしたいと、農家は思っているんです。
農業って意外と身近なようで、あまり触れることがないのかなぁって。
さつまいも掘りといっても農業している人がどういう人か、どういうことをしているのか見えていないと思います。
彼らにとって10年後、20年後農業がどうなってしまうのか不安なところもあると思います。
だからこそ保ち続けるには今何かしないと。
そういう熱意のある農家は自然と動いているんですよね。
夢農人のメンバーさんもそういう思いでやっているんじゃないかなぁと思います。
同じ農家として取り組まれていることは本当に素晴らしいことです。
だから、豊田市だけではなくどんどん広めていってほしいです。
これを知った私も地元の農家さんと何かできたらいいなぁと思います。
応援しています。